奈良の地酒 金鼓/大倉
   
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案内MAP
 今から五百年前の室町時代に奈良市菩提山町の正暦寺で
行われていた酒造方法を復活させた菩提酛(もと)に近い
伝統的な酒造方法を、今も続けている酒造メーカーが
県内にあることが分かった。
菩提酛の復活の貴重な参考となった。
復活に取り組んでいる県工業技術センターの研究員が
明らかにした。同センターは平成九年から、菩提酛の復活に
取り組み、昨年と今年、県内の酒造メーカー十社余りが
これを使って酒を仕込み、市販している。

 菩提酛復活の参考となった酒造方法は、神社で使われる
お神酒を造る水酛と呼ばれるもの。香芝市鎌田の蔵元
大倉本家(大倉勝彦代表取締役)が続けている。創業約百年の
老舗で、水酛による酒造りは昭和三年ごろから始めたという。
 同センター食品技術チームの松沢一幸主任研究員によると、
菩提酛を復活させるにあたり、最初は室町時代の古文書
「御酒之日記」「多門院日記」などの菩提酛についての記述を基に
とりあえず酒造りを試みたが、酒質を安定させることが難しく、
技術的分析をすることにした。
 気温の高い時期の醸造メカニズムの研究中に偶然、県内に
菩提酛とほぼ同じ工程を経る醸造法で酒造りを行っている
蔵元があることを知り、その工程について蔵元と研究することに
なったという。 
 同社は現在、神社庁からの委託で、水酛によってお神酒を
年間約千八百本生産。県内の数多くの神社と伏見稲荷などの
近県の神社に納めている。主に神社が祭礼用に使う
お神酒などを造る濁酒(だくしゅ)の免許を所持している。
 水酛は菩提酛と異なり、工程上、ろ過を経ないのでできた酒は
濁り酒。いわゆるどぶろくに酒税法上分類される。同免許を所持
する蔵元は県内唯一で、全国でも二つしかないという。
 大倉代表は「確かに製造に手間は掛かるし一般向けに
売るわけではないので、商売という側面からみると厳しい。
しかし食糧事情がひっ迫した戦時中でさえ、これに使われる米は
供出米から外された。そんな大事にされてきた伝統技術を
今後も守っていきたい」と話している。

奈良新聞(2000年5月13日)より転載、そのままテキスト化したものです